タマゴ学術情報

タマゴに関する学術情報を配信していきます。

9月の学術情報

文献No.72
卵を週7個以上摂取でメタボリスク低下(横断研究)

Shin S et al., Egg consumption and risk of metabolic syndrome in Korean adults: Results from the health Examinees study, Nutrients, 2017, 9(7), 687. doi: 10.3390/nu9070687.

【要旨】

  卵の摂取とメタボリックシンドローム(MetS)との関連についての研究は限られており、その結果は矛盾している。40-69歳の韓国人成人の卵の摂取とMetSとの関連を調べるために、横断研究を行った。The Health Examinees studyから計130,420人の被験者(男性43,682人、女性86,738人)について解析した。卵摂取量は、106項目の食品頻度アンケートを使用して算定した。MetSは、「National Cholesterol Education Program, Adult Treatment Panel III」を用いて判断した。潜在的な変数について調整した後、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)から卵消費とMetSとの関連についてロジスティック回帰分析を行った。
  130,420人の被験者のうち、34,039人(26.1%)がMetSであった。週7個以上卵を摂取した女性では、週1個未満者と比較してMetSリスクが低かった(OR: 0.77, 95%CI, 0.70-0.84、 p trend < 0.0001)。卵摂取量が多いと、女性では下記のMetS指標と逆相関関係が認められた:ウエスト周囲長の増加(OR: 0.80, 0.75-0.86)、血清トリグリセリドの上昇(OR: 0.78, 0.72-0.85)、HDL-Cの低下(OR: 0.82, 0.77–0.88)、血圧の上昇(OR: 0.86, 0.80-0.92)および空腹時血糖値の上昇(OR: 0.94, 0.83~0.99)。男性ではHDL-Cの低下(OR: 0.89, 0.80-1.00)と逆相関した。
  このように、卵の摂取量が多いと、女性ではMetSおよび測定した5つの代謝リスク指標が低減し、男性ではHDL-C低下のリスクが低減した。

文献No.71
コリン・ベタインの摂取とCVDリスクの関係(メタアナリシス)

Katie A M et al., Dietary choline and betaine and fisk of CVD: A systematic review and meta-Analysis of prospective studies, Nutrients, 2017, 9(7), 711; doi: 10.3390/nu9070711.

【要旨】

  コリンは卵、肉、魚などさまざまな食品が摂取源となっている。食事由来のコリン、ベタインとCVDリスクの関係を調査するため、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行った。解析には、成人を対象とした前向きコホート研究6報から、184,010人のデータを使用した。メタアナリシスの結果、CVDイベント発生率はコリン摂取量(RR: 1.00, 95% CI 0.98, 1.02)およびベタイン摂取量(RR: 0.99, 95% CI 0.98, 1.01)のどちらとも関連がなく、研究間の異質性は無かった。ホスファチジルコリン摂取量とCVD死亡率に関するデータは2件のみであり、メタアナリシスの結果、関連は見られなかった(RR: 1.09, 95% CI 0.89, 1.35)。しかし、2報中1報では正の相関が示されており、研究間に有意な異質性があった(I2 = 84%, p< 0.001)。
  以上より、食事由来コリンおよびベタインとCVD発症率には関連が認められなかった。また、コリンとCVD死亡率についても関連が見られなかったが、更なる研究が必要と考えられる。

文献No.70
卵の追加で健康的な食品の摂取が増加(介入試験)

Njike VY et al., Which foods are displaced in the diets of adults with type 2 diabetes with the inclusion of eggs in their diets? A randomized, controlled, crossover trial, BMJ Open Diab. Res. Care, 2017;5:e000411. doi:10.1136/bmjdrc-2017-000411

【要旨】

  2型糖尿病患者の食事に卵を追加もしくは除去することにより、他の食品の摂取量にどのような影響があるのかを調べるため、2型糖尿病の米国人男女34名(64.5±7.6歳)を対象とした単盲検ランダム化クロスオーバー試験を実施した。通常の食事の一部として卵2個/日を摂取する群、あるいは卵を除いた食事を摂取する群に分け、各12週間摂取した(ウォッシュアウト期間は6週間)。食事については栄養士が指導をし、カロリーが両群で同程度になるようにした。介入前と介入中の食事調査を行った結果、卵摂取期間では卵除去期間と比較し、精製穀物摂取量に減少傾向が認められた(−0.7±3.4 vs 0.7±2.2; p=0.0530)。また、介入前と比較した場合、卵摂取期間に総タンパク質摂取量が有意に増加した(0.3±0.7; p=0.0153)。卵除去期間には乳製品摂取量が有意に減少した(−1.3±2.9; p=0.0188)。その他の食品摂取量に有意な変化はなかった。以上の結果から、2型糖尿病患者の食事に卵を追加することは、健康的な食品の摂取を増加させ、非健康的な食品の摂取の減少につながる可能性が示された。


学術情報バックナンバー

文献No.61~69

文献No.69
イランにおける卵の高摂取は脳卒中発症リスクを低下させる(症例対照研究)

Fallah-Moshkani R et al., A case-control study on egg consumption and risk of stroke among Iranian population, J. Health Popul. Nutr., 2017, 36(1):28. doi: 10.1186/s41043-017-0104-2.

【要旨】

  卵の摂取と脳卒中のリスクについての利用可能なデータのほとんどは、西欧諸国からのものに限られるが、一致した結果は得られていない。米国では、死因として1年に19人中1人が脳卒中に起因するが、イランでは、1年に969人中1人である。中東諸国での伝統的な食事パターンは、炭水化物の摂取量が多く、卵の消費量は、米国およびヨーロッパよりも低いなど、食事背景にはかなり相違がある。そこで、イランの成人の卵摂取量と脳卒中のリスクとの関連性を調べることとした。
  症例対照研究として、アルザラ大学病院に入院した195人の脳卒中患者を症例対象として選択し、脳血管疾患または神経障害の病歴のない他の病棟に入院した患者から対照症例195人をリクルートした。168項目の食物頻度アンケート(FFQ)を使用して、参加者の過去1年間の通常の食事摂取(卵消費を含む)を評価した。
  卵の消費は脳卒中のオッズ比の低下と関連し、潜在的な交絡因子についての調整後、卵摂取量の最も高いカテゴリー(> 2個/週)は、低い摂取量(<1個/週)に比べ、脳卒中発症率が77%低かった(OR 0.23; 95%CI 0.11〜0.45)。BMIでさらに調整すると、関連が強化された(OR 0.20; 95%CI 0.09〜0.41)。
  以上のように、過去1年間の卵の高摂取(> 2個/週)が脳卒中リスクの低下と関連しているという証拠が得られた。これらの知見を確認するために、さらなる前向き研究が必要である。

文献No.68
卵殻カルシウムは閉経後女性の骨量を増加させる(介入研究)

Sakai S et al., Effects of eggshell calcium supplementation on bone mineral density in postmenopausal Vietnamese women. J. Nutr. Sci. Vitaminol., 2017, 63(2):120-124.

【要旨】

  ベトナムでは高齢者人口の増加に伴い骨粗鬆症が問題となっており、カルシウムの摂取不足がその原因の一つと考えられる。そこで、特に骨粗鬆症リスクが大きい閉経後女性において、卵殻カルシウムが骨量に与える影響を検証するため、以下の試験を実施した。 閉経後5年以上経過したベトナム人女性(平均年齢61.7歳)54名を対象とし、12ヵ月間にわたりカルシウム300mgを含む卵殻カルシウムを摂取する群(卵殻Ca群, n=16)、カルシウム300mgを含む炭酸カルシウムを摂取する群(炭酸Ca群, n=14)、およびプラセボ群(n=15)に分け、単盲検ランダム化並行群間比較試験を行った。6ヵ月および12ヵ月後での骨量の変化を、骨内伝播速度(SOS)を指標として群間比較したところ、卵殻Ca群のSOSは12ヶ月後で有意に増加し(p <0.05)、プラセボ群および炭酸Ca群よりも有意に高かった(p <0.05)。炭酸Ca群もプラセボ群より高値であったが、有意差はなかった(p > 0.05)。
  以上より、卵殻Caは閉経後のベトナム人女性において骨量を増加させ、その効果は炭酸Caよりも大きいことが認められた。卵殻Caは骨粗鬆症の予防に効果的である可能性が示唆された。

文献No.67
卵白の脂質蓄積抑制効果(動物試験)

Ochiai M et al., Egg white hydrolysate can be a low-allergenic food material to suppress ectopic fat accumulation in rats fed an equicaloric diet. J. Nutr. Sci. Vitaminol., 2017, 63(2):111-119.

【要旨】

  卵白および低アレルギー性の卵白加水分解物が体脂肪蓄積に及ぼす影響を検討した。継続摂取の影響については、ラットを3群に分け、カゼイン(C, n=6)、卵白(EW, n=7)、卵白加水分解物(EWH, n=7)を含む高脂肪・高蔗糖食を8週間与えた。EWおよびEWH群の摂取エネルギー量はC群の摂食量に合わせた。EWおよびEWH食の摂取により糞便に排出される脂質量が増加し、肝臓や筋肉中の脂質量が減少したが、腹部や全身の脂肪組織中の脂質量には変化はなかった。一方、血糖値およびアルカリホスファターゼ活性が有意に低下した。次に、物理化学的特性について検討した結果、EWおよびEWHはCよりも分散性が高く、EW添加のミセル溶液では、コレステロールやトリグリセリドのミセルへの溶解性が低いことが示された。単回摂取の影響については、ddYマウスを対照(C, n=15)、卵白(EW, n=15)、卵白加水分解物(EWH, n=13)の3群に分け、EWおよびEWH 500 mg/kgを与えた後、30分後に大豆油を経口投与した。採血の結果、単回摂取では脂質誘導性の高TG血症を抑制せず、小腸通過速度にも影響を与えなかった。これらの結果から、EWおよびEWHの継続摂取は脂質の吸収抑制により、肝臓や筋肉への脂質蓄積を抑制し、高脂肪食誘導性の肥満の予防に効果的である可能性が示された。

文献No.66
アヒル卵白ペプチドは骨形成を調節する(動物試験)

Hou T et al., Desalted Duck Egg White Peptides Promote Calcium Uptake and Modulate Bone Formation in the Retinoic Acid-Induced Bone Loss Rat and Caco-2 Cell Model. Nutrients, 2017, 12; 9(5). pii: E490. doi: 10.3390/nu9050490.

【要旨】

  これまでに、塩漬けアヒル卵白を脱塩後、酵素処理し、分子量5 kDa未満に調製した脱塩アヒル卵白ペプチド(DP)は、Ca欠乏条件下のCaco-2細胞およびラットにおいてCaの取り込みを促進することが確認されている。レチノイン酸誘導骨損失モデルを用いて、DPのCa吸収および骨形成に及ぼす効果を評価した。3ヶ月齢のWistar雌性ラットを用い、レチノイン酸処理を行わない対照群に対し、1日1回2週間のレチノイン酸処理(80 mg / kg)の直後に0.9%生理食塩水(モデル)、DP(800 mg / kg)またはアレンドロネート(陽性対照)(5 mg / kg)で3週間処置した。モデル群は、血清骨アルカリホスファターゼが他の3群よりも有意に高く(p <0.05)、Ca吸収率、血清オステオカルシン、骨重量指数、骨カルシウム含量、骨ミネラル密度および骨の最大負荷が低かった。DPまたはアレンドロネートによる治療後、Ca吸収率が上昇し、いくつかの血清および骨指標が回復した。形態学的観察の結果、DPまたはアレンドロネートの補充により骨組織の形態が改善し、破骨細胞の数が減少した。in vitroでは、transient receptor potential vanilloid 6(TRPV6)Caチャネル※が、DP およびDPから同定されたVal-Ser-Glu-Glu peptitde(VSEE)の両者の主要な輸送経路であることが示された。このように、DPがCaの取り込みを促進し骨形成を調節することから、骨損失の予防のために使われている治療薬の有用な代替品となり得ることが指摘された。
  ※TRPV6カルシウムチャネル:小腸Ca2+吸収経路で、Ca2+選択的な膜6回貫通型のイオンチャネル

文献No.65
ルテイン強化卵黄含有バターミルクは血管内皮機能や脂質代謝に影響なし(介入試験)

Sanne M. van der Made et al., One-year daily consumption of buttermilk drink containing lutein-enriched egg-yolks does not affect endothelial function in fasting and postprandial state. Sci. Rep., 2017, 2; 7(1):1353. doi: 10.1038/s41598-017-01370-7.

【要旨】

  これまでの研究で、ルテイン強化卵黄含有バターミルクを1日1回1年間摂取しても、黄斑変性の早期兆候を有する成人の空腹時血清脂質およびリポタンパク質濃度に有意な影響を及ぼさないことが示されている。本研究では、血管内皮機能を反映するパラメータを用いて、これらの知見をさらに実証することとした。さらに、絶食後から食後までの状態について観察した。1年間のプラセボ対照食事介入試験に参加した試験(Egg)群52名、対照群49名の被験者について、高脂肪混合食の食後のFMD(血流依存性血管拡張反応)検査※およびトリアシルグリセロール(TAG)、グルコースおよび遊離脂肪酸(NEFA))の生化学的変化を、試験開始時および終了時に評価した。高脂肪混合食摂取後の血糖値および血清脂質(TAGおよびNEFA)の応答は、試験開始時ならびに1年の摂取試験終了時で、Egg群および対照群で同等であった。空腹時FMDは、試験開始時と終了時に群間で同等であった。さらに、高脂肪混合食食事後のFMDの変化も、群間で同等であった。したがって、ルテイン強化卵黄含有バターミルク飲料の1年間の摂取は、食後の脂質およびグルコース代謝または血管内皮機能に影響を及ぼさないことが示された。
  結論:ルテイン強化卵黄含有バターミルクの毎日を摂取しても、早期の黄斑変性の兆候を有する対象における血管内皮機能、食後の血糖値および脂質代謝に悪影響を及ぼさないことがわかった。
  ※FMD:Flow Mediated Dilationの略で「血流依存性血管拡張反応」

文献No.64
卵白加水分解物はマヨネーズの酸化を阻害する

Kobayashi H et al., Egg white hydrolysate inhibits oxidation in mayonnaise and a model system. Biosci. Biotechnol. Biochem., 2017, 81(6):1206-1215.doi: 10.1080/09168451.2017.1290519.

【要旨】

  マヨネーズの風味劣化は、酸性条件下で卵黄ホスビチンから放出された鉄により、脂質酸化が促進されることで誘発される。酸化劣化を防ぐために、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの合成化学物質ではなく、天然成分が消費者から求められている。卵黄リポタンパク質を鉄イオン存在化で自動酸化させると、有機溶媒抽出物の蛍光強度が増強することが知られている。そこで、マヨネーズの抗酸化素材のスクリーニング法として、卵黄に酢酸を加えてpH 4とし、酸化促進する簡便な「酸性卵黄溶液酸化モデル」を考案した。本研究では、同じアミノ酸組成の卵白タンパク質、卵白加水分解物、アミノ酸混合物の3つの卵白由来成分がマヨネーズの脂質酸化に及ぼす影響を、このモデル系を用いて評価した。その結果、3つの成分のうち卵白加水分解物が脂質酸化に対して最も強い阻害効果を有することを見出した。抗酸化作用のメカニズムは、Fe 2+ -キレート化活性と関連していた。したがって、卵白加水分解物は、マヨネーズにおける脂質酸化の天然阻害剤とし利用できる可能性が指摘された。

文献No.63
乳酸発酵卵白の血中脂質への影響(介入試験)

Matsuoka R et al., Lactic-fermented egg white reduced serum cholesterol concentrations in mildly hypercholesterolemic Japanese men: a double-blind, parallel-arm design. Lipids in Health and Disease 2017, 16:101,doi: 10.1186/s12944-017-0499-1

【要旨】

  乳酸発酵卵白(Lactic-fermented egg white, LE)は卵白の硫黄臭が無く摂取しやすい。本研究では、8週間のLE摂取が血中コレステロール(Chol)濃度に及ぼす影響を検討するため、血中総Chol濃度がやや高めの成人男性88名(血中TC値204–259 mg/dL)を対象とし、二重盲検並行群間比較試験を実施した。毎日タンパク質として4, 6および8gに相当するLEを摂取する3群に無作為に割り付けた。摂取前と4および8週間後に血中Chol濃度を測定した。8週間後の血中総Chol濃度は、8g摂取群で摂取前と比較し有意に低下した(-11.0±3.7mg/dL, p<0.05)。また、4g摂取群と比較しても有意に低下した(p<0.05)。血中LDL-Chol濃度についても同様に、摂取前および4 g摂取群と比較して8g摂取群で有意に低下(-13.7±3.1 mg/dL, p<0.05)、HDL-Chol濃度は8 g摂取群で摂取前と比較して有意に低下した(p<0.05)。LDL-Chol/HDL-Chol比は、有意差はないものの摂取前と比較し低値であった。これらの効果のメカニズムとしては、卵白によるChol吸収抑制が考えられる。
  以上より、血中総Chol濃度がやや高めの男性におけるタンパク質8 g相当のLE摂取は、血中総およびLDL-Chol濃度を低下させ、動脈硬化予防に有用であることが示唆された。

文献No.62
糖尿病患者の卵摂取は心血管疾患リスクに影響を及ぼさない

Richard C et al., Impact of Egg Consumption on Cardiovascular Risk Factors in Individuals with Type 2 Diabetes and at Risk for Developing Diabetes: A Systematic Review of Randomized Nutritional Intervention Studies. Can. J. Diabetes. 2017. doi: 10.1016/j.jcjd.2016.12.002.

【要旨】

  2型糖尿病患者もしくは糖尿病リスクのある者が卵を摂取するとCVDリスクにどのような影響を及ぼすかを検証するため、システマティックレビューを実施した。卵摂取群と対照群(2個/週未満)を比較したRCT研究を対象として文献検索を行った結果、10報(6研究)が抽出された。介入期間は12~20週間で、全研究において6~12個/週の卵摂取は対照群と比較して、血中総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、空腹時血糖値、インスリン、CRP値に影響を及ぼさなかった。また、6研究中4研究では卵摂取によりHDLコレステロールの増加がみられた。以上の結果から、心血管の健康増進ガイドラインに基づいた食事の中で、卵を6~12個/週摂取することは、2型糖尿病患者もしくは糖尿病発症リスクのある者のCVDのリスク因子に悪影響を及ぼさないことが示唆された。

文献No.61
血中コリン濃度と心血管疾患リスクの関係(横断研究)

Roe AJ et al., Choline and its metabolites are differently associated with cardiometabolic risk factors, history of cardiovascular disease, and MRI-documented cerebrovascular disease in older adults. Am. J. Clin. Nutr. 2017. pii: ajcn137158. doi: 10.3945/ajcn.116.137158

【要旨】

  血漿のコリンおよびコリン代謝物と、心血管代謝リスク因子、心血管疾患既往歴、脳血管病変との関連を調査した横断研究。米国で行われたThe Nutrition, Aging, and Memory in Elders (NAME)コホート研究の参加者296名(73±8.1歳)を対象とした。血漿コリン、ベタイン、ホスファチジルコリン濃度の測定、MRIおよび認知機能テストによる脳血管病変の評価を行った。解析には線形モデルおよびロジスティック回帰モデルを使用した。
解析の結果、血漿コリン濃度が高い者ではHDL-Cが有意に低く、ホモシステインおよびBMIが有意に高く、心血管疾患既往歴および大血管疾患のオッズ比が高かった。しかし、小血管疾患のオッズ比は低かった。一方、血漿ベタイン濃度が高い者では血漿LDL-CおよびTGが有意に低く、糖尿病のオッズ比も低かった。また、ホスファチジルコリン濃度が高い者ではHDL-Cが有意に高く、BMI、腹囲、CRPが有意に低く、高血圧および糖尿病のオッズ比が低かったが、LDL-CおよびTGは有意に高かった。
  以上の結果より、コリンおよびコリン代謝物は心血管代謝のリスク因子や血管疾患のサブタイプに異なる影響を及ぼすことから、心血管および脳血管疾患(大血管および小血管)の発症への関与がコリンの形態によって異なることが示唆された。

文献No.51~60

文献No.60
コリンの摂取量が多いと肝がんリスクが低下(症例対照研究)

Zhou RF et al., Higher dietary intakes of choline and betaine are associated with a lower risk of primary liver cancer: a case-control study. Sci. Rep. 2017 7(1):679. doi: 10.1038/s41598-017-00773-w.

【要旨】

  コリン、ベタイン、メチオニンの摂取と原発性肝癌(PLC)リスクの関連性を検討した症例対照研究。症例は中国広州の病院からPLC患者644人(男:女=559:85)、対照は広州市の食事健康調査参加者から年齢と性別が一致する健常者644名を抽出した。食事調査には食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。調査の結果、コリンの摂取源は卵が最も多く(21,5%)、次いで豚バラ肉(13.0%)、赤身肉(10.8%)であった。総コリン摂取量および総ベタイン摂取量を3分位に分け、摂取量の最も少ない群のオッズ比を1とした。条件付きロジスティック回帰分析の結果、総コリン摂取量の最も多い群ではオッズ比0.34(95%CI:0.24-0.49;P-trend<0.001)、総ベタイン摂取量の最も多い群ではオッズ比0.67(95%CI:0.48-0.93;P-trend<0.011)であり、PLCリスクに有意な負の相関がみられた。メチオニン摂取量との間には有意な相関はなかった。また、コリン組成別に解析した結果、遊離コリン、グリセロホスファチジルコリン、ホスホコリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンはPLCリスクと有意な負の相関がみられた(P-trend<0.05)。コリンは葉酸と共通の代謝経路を持つため相互作用が考えられるが、葉酸摂取量によりPLCリスクとの相関に有意な違いはなかった(P-interactions: 0.488-0.890)。
  以上の結果より、コリンおよびベタインの摂取はPLCリスクを低下させる可能性が示唆された。

文献No.59
卵白のタンパク質利用率は加熱をしても変わらない

Matsuoka R et al., Heating Has No Effect on the Net Protein Utilisation from Egg Whites in Rats. Scientific World Journal, 2017; 2017: 6817196, doi: 10.1155/2017/6817196.

【要旨】

  卵白はタンパク質の優れた供給源であるが、ほとんどは加熱して摂取される。そこで、加熱条件の違いが卵白のタンパク質利用率に及ぼす影響を調べた。雄SDラット(N = 36、198±1g)を6つのグループに分けて、タンパク質として、非加熱卵白、ソフトボイル卵白(加熱65℃×5分)、ボイル卵白(加熱95℃×10分)、乳清タンパク質、大豆タンパク質、またはそれらを含まない群に分けて、AIN-76飼料で、10日間にわたり飼育した。窒素含有量および正味タンパク質利用率(NPU*)を測定するために、尿および糞便を5日目から毎日サンプリングした。大豆タンパク質群は、摂取量が有意に低かったので、その後の分析から除外した。大豆タンパク質はカゼインよりもメチオニンが少なく、メチオニンが少ない給餌を与えられた成長期のラットでは摂取量が減少することや、大豆タンパク質は食欲を減少させるホルモンであるコレシストキニンの分泌を促進することなどが原因と考えられる。
  NPU値(%)は、非加熱群、ソフトボイル卵白群、およびボイル卵白群それぞれ、97.5±0.4、96.5±0.1、および96.5±0.7であり、乳清タンパク質群の値(90.5±1.0)より有意に高かった。これらの結果は、卵白が加熱に関係なく、タンパク質の良好な供給源として利用されることを示している。

  *正味タンパク質利用率(NPU):摂取したタンパク質(窒素)のどれだけの割合が体のタンパク質(窒素)として保持されたかを表す値(%)
  正味たんぱく質利用率(NPU)=( 体内保留窒素量 / 摂取窒素量 )× 100 (%)

文献No.58
米国の卵消費量の推移

Conrad Z et al., Time Trends and Patterns of Reported Egg Consumption in the U.S. by Sociodemographic Characteristics. Nutrients 2017; 9(4) doi: 10.3390/nu9040333.

【要旨】

  卵は低コストで必要な栄養素を提供できる食品として期待できる。多様な人口統計学的特性における卵摂取の状況について調査するため、米国の成人29,696名の卵摂取に関するデータを米国国民健康栄養調査から入手し、解析を行った。米国国立がん研究所の方法を用いた卵摂取量分布の推定、線形・ロジスティック回帰モデルを用いた卵消費の経時変化や人口統計学的特性による差異について評価を行った。結果、卵を摂取している米国人の割合は2001-2012年でほぼ横ばいで、人口統計学的特性による差異もみられなかった。一方、人口全体での卵消費量は2001-2002年の23 g/日に対し2011-2012年では25.5 g/日と有意に増加していた(P<0.012)。しかし、食糧保障が十分でない者やSupplemental Nutrition Assistance Program(SNAP)登録者においては変化がみられなかった。また、所得や食糧保障の水準、SNAP登録状況によって層別解析を行った結果、卵消費量に差はなかった。卵はコストの低さや料理の多様さだけでなく栄養面での利点もあり、健康格差の改善に寄与できる可能性がある。摂取量を増やすための要因や価格変動など障壁となる要因を明らかにするため、更なる調査が必要である。
  ※SNAP:米国で低所得者に対して、最低限の食料を提供するための食料品購入補助制度

文献No.57
卵殻膜の炎症性腸疾患改善メカニズム(動物試験、in vitro)

Jia H et al., Eggshell membrane powder ameliorates intestinal inflammation by facilitating the restitution of epithelial injury and alleviating microbial dysbiosis. Sci. Rep. 2017 doi:10.1038/srep43993

【要旨】

  卵殻膜粉末が炎症性腸疾患(IBD)と腸内細菌に及ぼす影響を検討した。Caco-2細胞を用いた実験において、卵殻膜はLPSにより引き起こされた炎症性サイトカインの産生を抑制した。また、デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎モデルマウスにおいて、卵殻膜摂取により大腸炎重症度(DAI)の軽減と腸管の短縮が見られた。この効果には、炎症メディエーター、腸上皮細胞の増殖、修復関連因子および抗菌ペプチドの遺伝子発現の改善が関与していることが分かった。また、関連遺伝子、タンパク質、代謝物について統合オミクス解析を行ったところ、腸内細菌の多様性を改善並びにTh17細胞の増殖に働くセグメント細菌を抑制し病原性細菌の数を減少させることが示され、卵殻膜が腸内細菌叢の改善に重要な役割を持つことが明らかになった。そして、腸上皮の修復、エネルギー代謝の改善、粘膜炎症の緩和といった宿主に対する効果をも示すことが分かった。卵殻膜に多く含まれる難消化性タンパク質が食物繊維と同様に腸内細菌叢の改善に働いたと考えられる。
  本研究より、卵殻膜のIBD治療・予防における新たな可能性が見出された。

  ※DAI(disease activity index):大腸炎の重症度を評価する基準。体重、便の硬さ、便潜血で評価。

文献No.56
朝食での卵摂取が満腹感を高める(介入試験)

Missimer A et al., Consuming Two Eggs per Day, as Compared to an Oatmeal Breakfast, Decreases Plasma Ghrelin while Maintaining the LDL/HDL Ratio. Nutrients. 2017, 9, 89; doi:10.3390/nu9020089

【要旨】

  食事パターンが循環器疾患(CVD)リスクと食欲に及ぼす影響を検討するため、健常な米国人男女50名(23.3 ±3.1歳)を対象とし、朝食として、卵2個/日を含む食事を摂取する群(卵摂取群)あるいはオートミール食摂取群(OM摂取群)の2群に分け、各4週間摂取するクロスオーバー試験を実施した(ウォッシュアウト期間は3週間)。各介入終了時に空腹時の採血を行った結果、卵摂取群は血中LDL-CとHDL-CがOM摂取群と比較して有意に上昇(P<0.01)していたが、CVDリスクのバイオマーカーであるLDL-C/HDL-C比には差は認められなかった。血糖値、トリグリセリドおよびALT、AST(いずれも肝機能指標)にも差はなかった。また、視覚的アナログスケール(VAS)を適用し、朝・昼・夜の食事前における満腹感を調査した結果、卵摂取群は夕食前の満腹感が大きく、1日を通して空腹感が低くなり、それに伴って血漿のグレリン(食欲増進ホルモン)濃度も低下した(P<0.05)。以上の結果より、健常な若者において卵2個/日を含む朝食はCVDリスクに影響を与えず満腹感を高めるなど、健康的な朝食としての卵の有用性が示された。

文献No.55
卵摂取で2型糖尿病患者の体重や体脂肪率が改善(介入試験)

Njike VY et al., Egg ingestion in adults with type 2 diabetes: effects on glycemic control, anthropometry, and diet quality—a randomized, controlled, crossover trial. BMJ Open Diabetes Research and Care 2016, 4:e000281, doi:10.1136/bmjdrc-2016-000281

【要旨】

  2型糖尿病の米国人男女34名(64.5±7.6歳)を対象とした、単盲検のランダム化クロスオーバー試験。試験は卵を含まない食事期間を4週間設けた後、通常の食事の一部として卵2個/日を含む食事を摂取する群(卵摂取群)、あるいは通常の食事から卵を除いた食事を摂取する群(卵除去群)に分け、各12週間実施した(ウォッシュアウト期間は6週間)。卵摂取群は、卵除去群と比較しHbA1c濃度および血圧に変化は認められなかったものの、体重(P=0.007)、BMI(P=0.013)および内臓脂肪(P=0.016)が有意に低下した。さらに、卵摂取群はベースラインと比較して、ウエスト周囲長(P=0.004)および体脂肪率(P=0.033)が有意に低下していた。本試験の結果より、2型糖尿病者において通常の食事に卵を取り入れることで、血糖コントロールおよび血圧に影響を与えることなく、身体計測値を改善されることが示唆された。

文献No.54
タンパク質の種類(赤身肉、鶏肉、魚、卵、豆)と死亡リスクとの関連(コホート研究)

Farvid MS et al., Dietary Protein Sources and All-Cause and Cause-Specific Mortality: The Golestan Cohort Study in Iran, Am. J. Prev. Med., 2017, 52(2): 237-248.

【要旨】

  タンパク質源(赤身肉、鶏肉、魚、卵、豆類)と全死亡及び循環器疾患(CVD)や癌による死亡との関係について、イランのゴレスタン州で2004年から開始された中東で最初のコホート研究のデータに基づく調査結果の報告である。調査開始時の年齢36–85才、男女合わせて42,403人が参加しており、フォローアップ期間は2015年までの11年間、339,867人年で解析を行い、期間中3,291人が死亡した。
  卵摂取の増加は全死亡リスクの低下と相関し(HR = 0.88, 95%CI = 0.79, 0.97, P-trend = 0.03)、魚消費量の増加は、全癌、消化器癌の死亡リスク低下と相関した。豆類の摂取量は、全癌、消化器癌、その他の癌の死亡リスク低下と相関した。しかし、欧米で報告されているような赤身肉や鶏肉の摂取量と全死亡及びCVDや癌による死亡との関係は認められなかった(ただし、イランでは赤身肉の摂取量が欧米諸国と比較してかなり少ないことを考慮する必要がある)。

文献No.53
卵の摂取は認知機能に効果がある(コホート研究)

MP Ylilauri et al., Association of Dietary Cholesterol and Egg Intakes With the Risk of Incident Dementia or Alzheimer Disease: The Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study. Am. J. Clin. Nutr., 2017, doi: 10.3945/ajcn.116.146753.

【要旨】

東フィンランドのクオピオ虚血性心疾患危険因子研究に参加した当初検査で認知症のない42~60歳の男性、計2,497人を解析対象とし、コレステロールおよび卵の摂取量と認知症またはアルツハイマー病(AD)の発症、および認知機能テスト参加者480人の認知機能との関連を調べた。認知症の主要な危険因子であるアポリポタンパク質Eɛ4(APO-E4)遺伝子保持者についてもデータのある1,259人について関連を調べた。食物摂取量は、開始時に4日間の食物摂取記録を用いて評価した。その結果、21.9年間のフォローアップの間に、337人が認知症と診断され、うち266人がADと診断された。APO-E4遺伝子の保持如何にかかわらず、食事性コレステロールおよび卵の摂取量が増加すると、認知症やアルツハイマー病のリスクが低下する傾向にあった(有意差なし)。また、卵摂取量が多くなると(中央値45g=約卵1個/日)、認知機能に関するいくつかの試験においてより良好な成績を示した(有意差あり)。以上より、1日1個程度の卵の摂取は、ある種の認知機能に関して有益な効果があることが示唆された。

文献No.52
TMAOと卵摂取の関係(介入試験)

DiMarco, D.M. et al., Intake of up to 3 Eggs/Day Increases HDL Cholesterol and Plasma Choline While Plasma Trimethylamine-N-oxide is Unchanged in a Healthy Population. Lipids 2017, doi:10.1007/s11745-017-4230-9

【要旨】

No.51のクロスオーバー介入試験において、卵摂取がCVDリスクのバイオマーカーへ及ぼす影響を明らかにするため、各介入の終了後に血圧測定、食事記録、血中バイオマーカー(脂質、糖、コリン、TMAO)の測定を行い、評価に用いた。その結果、BMI、ウエスト周囲長、収縮期血圧、血糖値、血中中性脂肪値に変化はなかった。一方、拡張期血圧は卵摂取により低下(P<0.05)した。卵を摂取しない場合と比較し、1~3個の摂取により、LDL-Cの低下(P<0.05)、HDL-Cの上昇、LDL-C/HDL-C比の低下が認められた(P<0.01)。また、血中コリン濃度は卵摂取量依存的に増加したが(P<0.0001)、血中TMAO濃度に変化は認められなかった。以上の結果から、健常者では卵3個/日の摂取は血中コレステロールおよびTMAO値に影響を及ぼさず、CVD関連因子を改善することが示された。

文献No.51
卵摂取によりHDLの機能が改善(介入試験)

DiMarco, D.M. et al., Intake of up to 3 Eggs per Day Is Associated with Changes in HDL Function and Increased Plasma Antioxidants in Healthy, Young Adults. J. Nutr. 2017, doi: 10.3945/jn.116.241877.

【要旨】

卵0~3個の摂取が、LDLおよびHDLの粒子径やHDLの機能、血中の抗酸化物質に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、18~ 30歳の健常者38名を対象とし3期計14週間のクロスオーバー介入試験を実施した。2週間のウォッシュアウト期間(卵0個/日)後、1日当たり1、2、3個を各4週間摂取し、各介入の終了後に採血を行い分析した。卵を摂取しない場合と比較し、1~3個/日の摂取によって、large-LDLおよびlarge-HDL濃度、血中apoAⅠ濃度、LCAT活性が上昇した(P<0.05)。卵2~3個/日の摂取ではapoAⅡおよび血中ルテイン・ゼアキサンチン濃度が有意に上昇した(P<0.05)。また、3個/日の摂取では1~2個/日と比較し、パラオキソナーゼ-1活性も有意に増加した(P<0.05)。卵摂取はCETP活性には影響を及ぼさなかった。以上の結果から、卵1~3個/日の摂取は若年健常者において、アテローム性動脈硬化に関わるLDL粒子サイズおよびHDLの機能を改善し、血中の抗酸化物質濃度増加させることが明らかになった。

※パラオキソナーゼ-1:HDLに存在する抗酸化酵素であり、リポ蛋白を酸化から保護する。
※CETP(コレステロールエステル転送タンパク質):HDL中のコレステロールエステルをVLDLやLDLなどのリポ蛋白に転送するタンパク質。

文献No.41~50

文献No.50
卵や家禽肉の栄養学的特徴

Kralik G et al., Poultry products enriched with nutricines have beneficial effects on human health., Med Glas (Zenica), 2017 Feb 1;14(1). doi: 10.17392/879-16.

【要旨】

 著者の住むクロアチア共和国では、家禽肉の平均消費量は1人当たり18.3kgであり、卵は160個である。ブロイラー肉の最も質の高い部分は、むねとドラムスティック(もも)である。むね肉は21-23%のタンパク質、1.90-1.97%の脂肪、および0.74-0.77%のコラーゲンを含有する。ドラムスティックは、19.03-19.93%のタンパク質、4.70-6.05%の脂肪、および0.91-1.13%のコラーゲンを含有する。白身肉(むね)には、赤身肉(もも)よりも多くのカリウムとマグネシウムが含まれ、亜鉛と鉄が少ない。卵可食部100gあたりのエネルギーは167 Kcalであり、12.5-13.5gのタンパク質、10.7-11.6gの脂肪および1.0-1.1gのミネラルが含まれる。また、ロイシン、イソロイシン、リジン、アルギニン、バリン、フェニルアラニンなどの必須アミノ酸が多く含まれている。さらに、卵は多くのビタミン、特にA、D、E、KおよびB群、ならびに種々の多量元素(ミネラル)および微量元素(ミネラル)を含む。n-3系多価不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)、セレン、ルテインなどの機能性成分を豊富に含む卵や肉は、人間の健康にとっての付加価値と利益のための機能性食品としての基準を満たしている。

文献No.49
卵黄ペプチドの抗酸化能、ACE阻害活性(in vitro)

Yousr M et al., Antioxidant and ACE Inhibitory Bioactive Peptides Purified from Egg Yolk Proteins. Int. J. Mol. Sci., 2015, 16(12):29161-78. doi: 10.3390/ijms161226155.

【要旨】

  卵黄レシチン抽出時の副産物である卵黄タンパク質からは、抗酸化や抗高血圧効果といった生理活性のある加水分解ペプチドなどの付加価値物質が得られる可能性がある。
本研究では、卵黄タンパク質から得られた加水分解ペプチドの抗酸化活性およびアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を調べた。卵黄タンパク質加水分解物のゲル濾過画分(EYGF)を得た。これらのうち、EYGF-23およびEYGF-33の2つの画分は、抗酸化活性を示した。抗酸化メカニズムとして、スーパーオキシドアニオンおよびヒドロキシラジカルの捕捉および鉄キレート化を確認した。アミノ酸配列WYGPD(EYGF-23)およびKLSDW(EYGF-33)中のチロシン(Y)およびトリプトファン(W)のような疎水性アミノ酸の存在が、抗酸化活性に寄与し、その活性はBHA(合成抗酸化剤)と同等であった。第三のフラクションEYGF-56は、高いACE阻害活性69%、IC 50値3.35mg / mlを示した。アミノ酸配列SDNRNQGYペプチド(10mg / mL)は陽性対照カプトプリル(0.5mg / mL)と同等のACE阻害活性を示した。さらに、EYGF-33中のアミノ酸配列YPSPVペプチド(10mg / mL)はカプトプリルと比較してACE阻害活性が高かった。
これらの知見は、卵黄から生理活性ペプチドを生産できる可能性が高いことを示しているが、医薬用途や機能性食品に使用するには臨床試験が必要である。

文献No.48
毎日の卵摂取が抗酸化力を高める(介入試験)

Kishimoto Y, et al., The Effect of the Consumption of Egg on Serum Lipids and Antioxidant Status in Healthy Subjects. J. Nutr. Sci. Vitaminol., 2016, 62: 361-365

【要旨】

  卵は栄養価が高く抗酸化物質を豊富に含む食品である。卵の摂取は食事バランスの改善に働くが、血中コレステロールへの影響が懸念されている。本研究では、通常の食事に卵を1日1個追加摂取させて血中脂質および抗酸化指標に及ぼす影響を検討した。日本人の健常男性14名を対象とし、ゆで卵1個を含む朝食を4週間摂取させた。介入により、コレステロール摂取量は有意に増加したが、介入後の血中総コレステロール、LDLコレステロールに変化は無かった。一方、HDLコレステロール濃度は有意に増加し、LDL-C/HDL-C比は有意に低下した。MDA-LDL/LDL比およびLDLの易酸化性も有意に低下した。一方、血中総抗酸化能は介入後に増加した。以上の結果から、通常の食事に加え、卵1日1個を4週間摂取することで、血中脂質に悪影響は与えず、抗酸化指標の改善につながる可能性が示唆された。

文献No.47
離乳期早期の卵摂取が卵アレルギーを予防(介入試験)

Natsume O et al., Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomized double-blind, placebo-controlled trial. Lancet, 2016, doi: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)31418-0

【要旨】

  離乳期の早期から卵を摂取することで1歳時点における卵アレルギーを予防できるかどうかを検証するため、日本人を対象としたRCTを実施した。
食物アレルギー発症リスクが高い、アトピー性皮膚炎の乳児(4-5ヵ月齢)121人を対象とし2群に分け、試験食群(60人)には加熱全卵粉末を6-9ヵ月では50mg/日、9-12ヵ月では250 mg/日を、対照食群(61人)には全期間を通しカボチャ粉末を摂取させた。介入期間を終えた生後12ヵ月の時点における卵アレルギー発症率を評価した結果、対照食群では61名中23人がアレルギーを発症したが、試験食群では60人中5人が発症し、発症率が有意に低下した(リスク比RR=0.221, 95%信頼区間0.090-0.543, p=0.0001)。介入期間中に入院した者の割合は試験食群で10%、対照食群で0%であり、試験食群で有意に高かった(p=0.022)。有害事象の発症者の割合は、試験食群で15%、対照食群で18%であり、有意差は無かった。
この研究の結果、卵アレルギーの発症リスクが高いアトピー性皮膚炎の乳児に対して、加熱卵を早期に少量ずつ継続して摂取することで、安全に予防できることが示唆された。この研究は、食物アレルギーに起因するアレルギー発症を抑える実用的対応策を開発したことになる。

文献No.46
食習慣(主食、魚、卵、果物、野菜)と便秘の関係(疫学調査)

Yang XJ et al., Epidemiological study: correlation between diet habits and constipation among elderly in Beijing region, World J. Gastroenterol., 2016, 22: 8806-8811.

【要旨】

食習慣と便秘の関係を評価するため、北京に住む60歳以上の2,776人を対象に疫学調査を行った。食事については、主食、魚、卵、果物、野菜の摂取頻度を調査した。便秘については、排便頻度の減少、便の性状、排便困難を評価した。対象者の便秘の罹患率は13%であり、年齢と正の相関(p<0.01)が認められたが、男女間および都会と田舎在住者間で差はなかった。主食の摂取量(p<0.05)、魚の摂取頻度(p<0.01)、食物繊維(果物・野菜)の摂取頻度(p<0.05)について、有意な負の相関が認められた。卵については、非摂取者よりも摂取者で罹患率が低かったが、有意な相関はなかった。また、性別および居住地域による相関も認められなかった。以上より、食習慣は便秘に影響することが示唆された。バランスの良い食事を第一に、果物や野菜、全粒粉のような食物繊維を多く含んだ食品の摂取が有効であるという従来の論拠が確認されている。

文献No.45
タンパク質の種類と乳がんリスクの関係(メタアナリシス)

Jing Wu et al., Dietary protein sources and incidence of breast cancer: a dose-response meta-analysis of prospective studies. Nutrients, 2016, 8: 730

【要旨】

タンパク質の種類による乳癌リスクの違いをメタ分析により評価した。2015年までに行われた46件の前向きコホート研究を解析に用いた。各タンパク質源において、摂取量最小群と最多群との間で相対リスク(RR)を求めた。その結果、加工肉ではRR=1.07(95%Cl: 1.01-1.14)で摂取量と乳癌リスクとの間に軽度ではあるが正の相関が認められた。一方、大豆製品ではRR=0.92(95%Cl: 0.84-1.00)、スキムミルクでは0.93(95%Cl: 0.85-1.00)、ヨーグルトでは0.90(95%Cl: 0.82-1.00)であり、いずれも乳癌リスクと負の相関関係にあった。同様の結果が用量依存的にも得られた。卵については、RR=1.04(95%Cl: 0.98-1.11)であり、乳癌リスクとの相関は無いことが示された。その他、鶏肉、魚、豆類、ナッツの摂取量も乳癌のリスクと相関は無かった。

文献No.44
卵摂取量と前立腺がんに相関無し(コホート研究)

Wilson KM et al., Meat, fish, poultry, and egg intake at diagnosis and risk of prostate cancer progression. Cancer Prev. Res. (Phila), 2016, pii: canprevres.0070.2016.

【要旨】

  赤身肉、加工赤身肉、未加工赤身肉、鶏肉、魚肉、卵の摂取と前立腺がんの再発の関係を調査する目的で、2003年から2010年の間に前立腺がんのため前立腺全摘出手術を受けた971人の男性を対象に前向き研究を行った。がんの進行度はグリソンスコア※を用いて評価した。摂取量によって4分位した結果、ハイグレード(スコア7以上)のがんリスクは、赤身肉の最低摂取量群と比較して最高摂取量群のオッズ比は1.66で、軽度な相関が認められた。進行性がんリスクについては、十分に焼いた赤身肉でのオッズ比は1.74で、相関があった。ハイグレードのがんリスクおよび進行性がんリスクと卵の摂取に相関はなかった(それぞれp=0.28およびp=0.16)。また、卵の摂取量が多い群(上位10%、≧42g/日)では、がんの再発リスクがわずかに高かったが有意な相関は認められなかった(p=0.11)。
以上より、卵の摂取とハイグレードのがんリスク、進行性の前立腺がんリスクやがんの再発リスクに関連は認められなかった。
※グリソンスコア…がんの悪性度を判断するために用いられる評価指標
(スコア6以下:比較的進行の遅い、スコア7:中程度の悪性度、スコア8以上:悪性度が高い)

文献No.43
卵黄が脂肪肝を改善(動物試験)

Erami K et al., Dietary egg yolk supplementation improves low-protein-diet-induced fatty liver in rats. J. Nutr. Sci. Vitaminol., 2016, 62:240-248.

【要旨】

  卵黄摂取が低タンパク質誘導性脂肪肝に与える影響について、4週齢のSD系雄ラット(n=25)をカゼイン20%含有食(C)、カゼイン5%含有の低タンパク質食(LP-C)、卵黄12.5%含有の低タンパク質卵黄食(LP-EY)および卵黄油4.1%含有の低タンパク質卵黄油食(LP-EYO)の4群に分け、2週間飼育した。低タンパク質(LP)食は、タンパク質4.13%、脂質4.7%となるように調製した。LP-C群ではC群と比較し肝臓のトリグリセリド(TG)量の増加と空胞化、血中TG値および遊離脂肪酸量の低下が認められたが、LP-EY群ではこのような変化はなかった。また、脂質合成関連酵素(FAS, G6PDH, ME)はLP-EY群およびLP-EYO群で低下し、リポ蛋白分泌に関わるミクロソームトリアシルグリセロール輸送タンパク質(MTP)はLP-EY群でのみ増加した。これらの結果から、卵黄摂取は、脂質合成関連酵素の発現低下およびMTPの発現増加を介する肝臓から血中への脂質分泌改善という2つのメカニズムを介して、低タンパク食で惹起する脂肪肝を改善する可能性が示唆された。

文献No.42
乳児期早期の卵摂取がアレルギー発症リスクを低下(メタアナリシス)

Despo I et al., Timing of allergenic food introduction to the infant diet and risk of allergic or autoimmune disease. A systematic review and meta-analysis. JAMA. 2016, 316:1181-1192.

【要旨】

  乳児期にアレルゲン食品を摂取させると食物アレルギーの発症リスクにどのような影響があるのかを検証するため、メタ分析を実施した。その結果、生後4~6ヵ月に卵を摂取すると、卵アレルギーの発症リスクが有意に低下することが示された(n=1,915、RR:0.56、95%CI:0.36~0.87、P=0.009)。ピーナッツアレルギーは、生後4~11ヵ月にピーナッツを摂取することで発症リスクが有意に低下した(n=1,550、RR:0.29、95%CI:0.11~0.74、P=0.009)。また、これらの早期摂取は、他の食物アレルギーの発症には影響を及ぼさないことも示された。これらの結果から、乳児における早期の卵およびピーナッツの摂取は、それぞれの食物アレルギー発症リスクを低下させる可能性が示された。

文献No.41
卵摂取量と心疾患リスクに相関無し(メタアナリシス)

Alexander DD et al., Meta-analysis of egg consumption and risk of coronary heart disease and stroke. J. Am. Coll. Nutr., 2016, doi: 10.1002/mnfr.201600324.

【要旨】

  コレステロールの摂取と心疾患との関係は長年研究されてきた。最近のレビューでは、食事コレステロールは注意すべき栄養素ではないとも指摘されている。改めて食事コレステロールの最大の寄与源である卵の摂取量と冠動脈心疾患や脳卒中のリスクについて、それぞれ7つの前向きコホート研究の結果を用いて包括的なメタ分析を行った。対象者数は冠動脈疾患リスク評価では約276,000人、脳卒中リスク評価では約308,000人。卵摂取量が多い群(1個/日)と少ない群(<2個/週)で比較するため、指標として統合相対リスク推定値(SRRE)を用いた。その結果、脳卒中では1個/日の卵摂取で12%のリスクの低下が認められ(SRRE=0.88)、差は統計学的に有意であった。一方、冠動脈疾患ではSRRE=0.97であり、統計学的な有意差は認められなかった。これらの結果から、1日1個の卵摂取が、脳卒中リスク減少に寄与することと、冠動脈心疾患リスクとは関係ないことが示された。

文献No.31~40

文献No.40
腸内微生物叢とTMAOと卵の関係(介入試験)

Cho CE et al., Trimethylamine-N-oxide (TMAO) response to animal source foods varies among healthy young men and is influenced by their gut microbiota composition: a randomized controlled trial. Mol. Nutr. Food Res., 2016, doi: 10.1002/mnfr.201600324.

【要旨】

  腸内微生物叢が関連する代謝物であるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は心臓病のリスク増加に関連する成分である。動物性食品に対するTMAOの応答は健常な男性の間でも異なり、この反応は腸内微生物叢により修飾されるという仮説を証明するため、以下の試験を行った。40名の健常男性(21~51歳)を、TMAOを多く含む食事(魚群)、TMAOの前駆体であるコリンあるいはカルニチンを多く含む食事(卵群あるいは牛肉群)、およびフルーツ食(対照群)に分け、クロスオーバー試験を行った。それぞれの食事中のTMAO量は、魚群528.9±9.4 mg、卵群0.8±0.1 mg、牛肉群0.9±0.1 mgであった。試験の結果、魚群は卵、牛肉、対照群よりも血中および尿中のTMAO、トリメチルアミン、ジメチルアミンの濃度が有意に高かった。特に、尿中TMAO濃度は他の群に比べ、魚群では約45倍増加していた。また、血中TMAO濃度が魚摂取15分以内に上昇したことから、食事のTMAOは腸内微生物叢による代謝を経ずに吸収される可能性がある。16S rRNA遺伝子の解析によると、高TMAO生成者(卵や牛肉を摂取することで尿中TMAOが20%以上増加した者)の腸内にはバクテロイデスよりフィルミクテスが有意に多く、腸内微生物叢の多様性が低いことがわかった。以上のことから、TMAO生成は個人毎の腸内微生物叢の違いに依存することが示された。

文献No.39
卵はビタミンEの吸収を促進(介入試験)

Kim JE et al., Egg Consumption increases Vitamin E absorption from co-consumed raw mixed vegetables in healthy young men. J. Nutr., 2016, doi : 10.3945/jn.116.236307.

【要旨】

  ビタミンEは天然に存在する脂溶性の栄養素であり、その抗酸化活性および抗炎症活性から循環器疾患、特定のがん等の慢性疾患の予防に寄与することが知られている。本研究では、卵を野菜と合わせて食べることによるビタミンEの吸収への影響を検討した。健常な男性16名(mean±SD;年齢24±4歳、BMI 24±2 kg/m2)にサラダ(菜種油3 gを加えたもの)+卵0 g (control : CON)、サラダ+調理した卵75 g(low-egg : LE)、またはサラダ+調理した卵150 g(high-egg : HE)を摂食させ、10時間にわたり1時間毎の血中α-トコフェロール濃度および血中γ-トコフェロール濃度を測定した。血中α-トコフェロール濃度の0-10時間における曲線下面積(AUC)は、HE群(mean±SE:981±162 nmol/L・10h)が他の群(CON : 117±162 nmol/L・10h, LE : 311±162)と比較して有意に高値を示した。血中γ-トコフェロール濃度のAUCもまたHE群(402±54 nmol/L・10h)で、CON群(72±54 nmol/L・10h)と比較して有意に高値であった。以上のことから、卵の摂取は健常な男性においてビタミンEの吸収を促進させる効果的な方法と見なされた。

文献No.38
サルコペニア予防に卵は最適(総説)

Alison S et al., Considering the benefits of egg consumption for older people at risk of sarcopenia. Br. J. Community Nurs., 2016, 21:305-309.

【要旨】

  高齢者の重要な健康問題であるサルコペニア(筋減少症)は、虚弱や栄養失調とも関連しており、健康やQOLの低下につながる。筋肉量減少は、40、50代から始まるため、高齢期でのサルコペニアのリスクを低下させるためには、運動やバランスの良い食事などに中年期から気を付けることが必要である。食事については、筋合成を高めるためにタンパク質の摂取が重要であり、摂取タイミングや質も考慮する必要があると考えられる。卵は、筋肉合成に必要なロイシンや、ビタミンD、n-3系脂肪酸など高齢者に必要な栄養素を多く含み、消化吸収に優れた良質なタンパク質源である。安価で広く容易に手に入れることができ、多くの高齢者にとって、親しみがあり朝食などに取り入れやすいタンパク質源であると考えられる。高齢者の卵摂取量を増やすことで、健康的でバランスの良い食事や筋肉増強が期待でき、サルコペニアの予防にもつながると考えられる。

文献No.37
ビタミンD強化卵で冬季のビタミンD不足解消の可能性(介入試験)

Hayes A et al., Vitamin D-enhanced eggs are protective of wintertime serum 25-hydroxyvitamin D in a randomized controlled trial of adults. Am. J. Clin. Nutr., 2016, 104:629-637.

【要旨】

  デンマークでの研究。ビタミンD合成量が少ない冬期(1~3月)におけるビタミンD強化卵摂取の効果を確認するため、健常成人55名を対象としたRCTを実施した。被験者は、通常卵(総VD含量:3.43±1.31μg/egg)≦2個/週(対照群)、ビタミンD3強化卵(総VD含量:3.54±1.04μg/egg)7個/週(VD3群)、25(OH)D3強化卵(総VD含量:4.54±1.38μg/egg)7個/週(25(OH)D3群)の3群に分け、8週間摂取。試験前の血中25(OH)D3濃度に有意な群間差は無かったが、対照群ではVD3群、25(OH)D3群と比較し血中濃度が7~8 nmol/L低かった。8週間の卵摂取の結果、対照群では血中VD濃度が有意に減少したのに対し、VD3群、25(OH)D3群では血中濃度が減少せず、対照群に対して有意な群間差が見られた。この結果から、7個/週のビタミンD強化卵の摂取は、成人の冬期におけるビタミンD維持に重要な役割を果たすことが期待できる。

文献No.36
卵摂取と心血管疾患発症リスクの増加に関連はなかった(コホート研究)

J. Díez-Espino et al., Egg consumption and cardiovascular disease according to diabetic status: The PREDIMED study. Clin. Nutr., 2016, doi: 10.1016/j.clnu.2016.06.009

【要旨】

  主な食事コレステロール源である卵の摂取量と循環器疾患発症率および2型糖尿病との関連性を明らかにした。PREDIMED (PREvencion con DIeta MEDiterranea) studyの結果より循環器疾患の既往歴がなく、2型糖尿病もしくは循環器疾患のリスクファクター(1.高血圧;> 140/90または降圧剤治療中、2.血中LDL-C濃度;> 160 mg/dLまたは脂質低下治療中、3.血中HDL-C濃度;< 40 mg/dLの男性、;50 mg/dLの女性、4.肥満または過体重、5.喫煙中、6.若年性冠動脈心疾患の家族歴)のうち、3つ以上を持つ55-80歳男性、60-80歳女性の計7,216名(2型糖尿病罹患率約50%)を対象に、2003年10月から2009年6月の間で平均5.8年間の前向き追跡調査を行った。その結果、循環器疾患イベントに関して、卵摂取量が4個/週以上の群のハザード比は、2個/週以下の群と比較すると、非糖尿病患者では0.96(95%CI, 0.33-2.76)、糖尿病患者では1.33(95%CI, 0.72-2.46)であり、糖尿病の有無による交互作用は認められなかった。調査期間中の卵の累積摂取量500個あたりにおけるハザード比は、非糖尿病群で0.94(95%CI, 0.66-1.33)、糖尿病群で1.18(95%, 0.90-1.55)であった。以上の結果より、循環器疾患リスクの高い非糖尿病者および糖尿病患者において、卵の摂取と循環器疾患リスクの増加に関連がないことが明らかになった。

文献No.35
鉄欠乏性貧血に卵白が効果あり(動物試験)

Kobayashi Y et al., Egg yolk protein delays recovery while ovalbumin is useful in recovery from iron deficiency anemia. Nutrients. 2015, 7:4792-4803.

【要旨】

  鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia, IDA)における卵タンパク質の有効性について検討した。SD系雌ラット31匹を、通常食を与える対照群(カゼイン)(4.0mg Fe/100g, n=6)と低鉄食を与えるIDA群(0.4 mg Fe/100g, n=25)に分け42日間飼育した。IDA群は、21日間の飼育後、卵白群(n=6)、オボアルブミン群(n=7)、卵黄群(n=6)、カゼイン群(n=6)に分け、それぞれの飼料(いずれも100gあたり 4.0mgの Feを含む)で21日間飼育した。卵黄群では、ヘマトクリット、ヘモグロビン、トランスフェリンの飽和度、肝臓鉄量の回復が他の群よりも有意に遅かった(p<0.05)。卵黄中のホスビチンが鉄と結合し吸収を妨げたと考えられた。一方、卵白群およびオボアルブミン群では、肝臓鉄量がカゼイン群よりも高くなった。この結果から、卵白はIDAからの回復に有用であり、オボアルブミンがその関与成分の一つである可能性が示唆された。なお、卵黄については、鉄の過剰蓄積により組織損傷を引き起こすヘモクロマトーシス(血色症)などの疾患において、鉄除去治療に利用できる可能性が考えられた。

文献No.34
卵摂取と非ホジキンリンパ腫のリスクは相関が無い(メタアナリシス)

Dong Y et al., Lack of association of poultry and eggs intake with risk of non-Hodgkin lymphoma: a meta-analysis of observational studies. Eur. J. Cancer Care, 2016,
doi: 10.1111/ecc.12546

【要旨】

  家禽類や卵の摂取と非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma, NHL)のリスクとの関係を明らかにするため、メタアナリシスを行った。NHLとはリンパ組織に発生する悪性腫瘍であり、家禽類や卵の摂取と関連があることが報告されている。文献調査の結果、9報の症例対照研究と3報の前向きコホート研究より、合計11,271名のNHL患者が抽出された。NHLの相対リスクは家禽類の摂取量が多い群と低い群との間で比較すると、1.04 (95%CI: 0.86-1.27 p, heterogeneity <.001, I2 = 84.0%)、卵の摂取量が多い群と低い群との間では1.15 (95%CI: 0.87-1.51, p, heterogeneity <.001, I2 = 85.3%) であり、有意な相関は見られなかった。また、NHLのサブタイプ別にみても、有意な相関はなかった。以上の結果から、家禽および卵の摂取はNHLのリスクと相関が無いことが示唆された。

文献No.33
出産年齢女性における卵摂取と環境ホルモン代謝は負の相関(コホート研究)

Jo A et al., Associations between dietary intake and urinary bisphenol A and phthalates levels in Korean women of reproductive age. Int. J. Environ. Res. Public. Health, 2016, doi: 10.3390/ijerph13070680

【要旨】

  食品や飲料の容器包装に使われているビスフェノールA(BPA)やフタル酸は、女性の生殖器官の様々な不調を含む健康被害に関連する環境ホルモンとして注目を集めている。本研究では、出産年齢(30~49歳)の韓国人女性305名を対象に、食事と尿中のBPAおよびフタル酸の関係を調査した。その結果、飲料(缶や小袋入りコーヒーやプラスチックボトルや缶ボトルのお茶、炭酸水、アルコール)の摂取は尿中BPAと正の相関があり、卵や卵製品の摂取はフタル酸の代謝物である尿中フタル酸モノ2-エチル-5-オキソヘキシル(MEOHP)や尿中フタル酸モノブチル(MnBP)と負の相関があった。また、飲料摂取が1日当たり100gより多い女性では100g 以下の女性に比べ、高BPAレベル(90パーセンタイル以上)であるオッズ比が有意に高かった。これらの結果から、出産年齢の韓国人女性では、飲料はBPAの体内負荷量と正の相関、卵はMnBP、MEOHPと負の相関があることがわかった。

文献No.32
卵摂取量と糖尿病リスクは地域差あり(コホート研究)

Luc Djoussé et al., Egg consumption and risk of type 2 diabetes: a meta-analysis of prospective studies. Am. J. Clin. Nutr., 2016, 103:474-480.

【要旨】

  卵摂取と糖尿病リスクとの関係について検証するため、コホート研究の結果を調査しメタ分析を行った。文献調査の結果、12報のコホート研究(対象者総数219,979名、糖尿病患者8911名)が該当した。卵摂取量が最も少ないグループと多いグループで比較すると、糖尿病の相対リスクは1.06(95% CI:0.86, 1.30)であり、卵摂取と糖尿病リスクに相関は無かった。地域別でサブグループ解析を行った結果、米国の研究(7報)では卵を多く摂取する群で糖尿病リスクが39%高かった(95% CI: 21%,60%)。その他の地域で行われた研究(5報)ではこのような相関は認められなかった。また、摂取量との関連を解析した結果、卵4.6個/週以上の摂取で糖尿病リスクがやや上昇したが有意差はなく、卵摂取量が増えてもリスクは上昇しなかったが、米国での研究に限っては、卵3個/週以上摂取するとリスクが軽度ながら高まった。

文献No.31
若者が朝食に卵摂取で食欲抑制ホルモンが増加(介入試験)

Ann G. Liu et al., The effect of an egg breakfast on satiety in children and adolescents: A randomized crossover trial. J. Am. Coll. Nutr., 2015, 34:185-190.

【要旨】

  朝食での卵摂取により満腹感が増し昼食の摂食量を減少させることが大人を対象とした研究で明らかになっている。そこで、若者での効果を検討するため、子供(4-6歳)13名と青年(14-17歳)15名を対象とし、朝食として卵食あるいは同カロリーのベーグル食(パン食)を摂取するクロスオーバー無作為比較試験を実施した(卵食はベーグル食と比較しタンパク質と脂質を多く含む)。朝食から3時間後に、昼食を満腹になるまで自由摂取させ摂取量を測定した結果、子供、青年ともにエネルギー摂取量に群間差は見られなかった。一方、朝食前および朝食30分後と180分後に血中の食欲抑制ホルモン(PYY)濃度並びに満腹感と空腹感を測定した結果、青年の卵摂取群ではPYY値が有意に高かったが、食事摂取量の減少とは結びつかなかった。これらの結果から、子供や若者では朝食での卵摂取は食欲抑制ホルモンを増加させるが、摂食量には影響を及ぼさなかった。

文献No.21~30

文献No.30
卵で2型糖尿病のビタミンD欠乏予防(動物試験)

Samantha KJ et al., Whole egg consumption prevents diminished serum 25-hydroxycholecalciferol concentrations in type 2 diabetic rats. J. Agric. Food Chem. 2016, 64:120-124.

【要旨】

  2型糖尿病では、25-ヒドロキシビタミンD3(25D)の尿中排泄の増加によるビタミンD欠乏が特徴である。全卵はビタミンD、とくに体内のビタミンD状態を反映している循環型25Dを豊富に含むことが知られている。本研究では、糖尿病を自然発症するZDF(Zucker diabetic fatty)ラットと対照ラットを用い、それぞれカゼイン食あるいは全卵食を8週間摂取させた。その結果、全卵食は両ラットで高血糖、高トリグリセリド状態を改善し、同時にZDFラットでのカゼイン食による体重増加も抑制した。血漿の25D濃度はカゼイン食の場合ZDFラットで低かったが、全卵食ではカゼイン食の対照ラットと同等であった。また、対照ラットにおいても、カゼイン食に比べ全卵食で有意に血漿25D濃度が高かった。これらのデータは、全卵の摂取は2型糖尿病ラットの代謝的異常を軽減するだけでなく、正常な血中25D濃度を維持することを示している。以上のことから、2型糖尿病患者のビタミンD欠乏を防ぐための新しい食事指針を提案できそうである。

文献No.29
卵摂取は2型糖尿病患者の血糖値に対し影響を及ぼさない(介入試験)

Ballesteros MN et al., One egg per day improves inflammation when compared to an oatmeal-based breakfast without increasing other cardiometabolic risk factors in diabetic patients. Nutrients., 2015, 7:3449-3463.

【要旨】

  33~65歳のメキシコ人2型糖尿病患者33名を対象に、ランダム化クロスオーバー試験を行った。エネルギー量を揃えた、1日1個の卵を含む朝食もしくは40gのオートミールを含む朝食を、3週間のウォッシュアウト期を挟み、それぞれ5週間ずつ摂取させた。各食事の摂取期間終了後に血液分析を行った結果、血中グルコース濃度、血中脂質、種々のリポタンパク質のサイズや濃度、インスリン、HbA1c、アポリポプロテインB、酸化LDL、C-反応性タンパク(CRP)に有意な差は見られなかった。しかし、性別、年齢、BMIで補正すると、ASTとTNF-α値が卵を含む朝食を摂取時に有意に減少していた。これらの結果から、オートミールの朝食と比べても、卵を含む朝食は2型糖尿病患者のリポタンパク質や糖代謝に悪影響を及ぼさないことが示された。一方、卵の摂取は慢性的な軽度の炎症者のASTやTNF-αを減少させた。このように、卵は2型糖尿病患者の血糖値に対し影響を及ぼさないことが認められた。

文献No.28
卵白ペプチドの抗炎症作用とそのメカニズム(in vitro)

Majumder K et al., Structure and activity study of egg protein ovotransferrin derived peptides (IRW and IQW) on endothelial inflammatory response and oxidative stress. J Agric. Food Chem., 2013, 61:2120-2129.

【要旨】

  卵白オボトランスフェリンから得られるペプチドIRWおよびIQW※は、血管内皮細胞の酸化ストレスとTNFによる炎症を抑制する。本研究では、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)を使用し、そのメカニズムを検討した。血管炎症の進行に関わる接着分子ICAM-1およびVCAM-1の発現は、TNF※の刺激により促進されるが、IRW により抑制された。IQWについては、VCAM-1のみに効果が認められた。また、IRW、IQW両方ともTNFにより産生される活性酸素を減少させた。抗炎症作用のメカニズムとしては、IRW、IQWそれぞれ違った機序でNF-κB経路を介することが分かった。これらの作用について、ジペプチド(IR, IQ, RW, QW)やアミノ酸(I, R, W, Q)では効果がみられなかったことから、トリペプチド構造が必要であることが示された。

※アミノ酸 I:イソロイシン、R:アルギニン、W:トリプトファン、Q:グルタミン
※TNF (tumor necrosis factor), 腫瘍壊死因子。

文献No.27
朝食に卵摂取で食欲が抑制される(介入試験)

Bonnema AL et al., The effects of the combination of egg and fiber on appetite, glycemic response and food intake in normal weight adults-a randomized, controlled, crossover trial. Int. J. Food Sci. Nutr., 2016, 16:1-9.

【要旨】

  正常体重~過体重の健常米国人48名(平均年齢24歳、BMI 23)を対象とし、朝食として卵を取り入れた高タンパク質食(タンパク質30 g)およびタンパク質+食物繊維食(タンパク質20 g、食物繊維7 g)、対照としてシリアル食(タンパク質10 g)の3種類を用いた。血糖値、昼食(自由摂取)の摂取量、VAS※を用いた空腹感と満腹感の評価を実施した。いずれも食事のエネルギー量は揃え、ウォッシュアウト期間を1週間以上設けるクロスオーバー試験として実施した。結果としては、高タンパク質食が最も満腹感が高かった。また、シリアル食と比較して卵を含む朝食はどちらも食後血糖値が低下し、昼食の摂食量が減少した。血糖値への影響は、炭水化物量の違いによると考えられる。以上から、朝食に卵を取り入れることで食欲が抑えられ、体重減少などの食事管理に役立つことが期待できる。
※VAS (visual analog scale): 視覚的アナログスケール(人間での感覚の主観的強度測定法)

文献No.26
新しいコレステロール分析法の提唱

Tânia GA et al., Cholesterol determination in foods: Comparison between high performance and ultra-high performance liquid chromatography.
Food Chemistry, 2016, 193:18–25

【要旨】

  わが国では、食品中のコレステロールの定量にはガスクロマトグラフィー(GC)が適用されているが(日本食品標準成分表、食品表示の公定法)、他のステロール類とのピークの重複という問題点がある。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ではこの問題を回避でき、低温で分析を行うためコレステロールの酸化を防止するという利点もある。そこで、HPLCとUHPLC(超高速液体クロマトグラフィー)を用い、サワークリーム、卵、卵黄、チキンナゲットについてコレステロールの定量法を検討した。HPLCとUHPLCはいずれも迅速かつ高感度で、正確な測定が可能であったが、検出限界および定量限界はUHPLCで優れていた(UHPLC: 0.7μg/mL、2.4μg/mL、HPLC: 3μg/mL、11μg/mL)。とくに、UHPLCでは有機溶剤の使用量が少なく、分析時間も短縮されたことから、より環境に優しい分析方法であるといえる。本法は現代社会における食生活や調理法の多様化に的確に対応できるコレステロール分析法と判断され、今後の普遍化が期待される。

文献No.25
冠動脈疾患者の卵摂取は血中脂質・血圧に影響なし(介入試験)

Katz DL et al., Effects of egg ingestion on endothelial function in adults with coronary artery disease: A randomized, controlled, crossover trial. Am. Heart J., 2015, 169:162-169.

【要旨】

  平均年齢67歳の32名(女性6名、男性26名)の冠動脈疾患者を対象に、ランダム化単盲検クロスオーバー試験を行った。4週間のウォッシュアウト期を挟み、卵2個を含む朝食、卵代替品1/2カップを含む朝食あるいは高炭水化物の朝食の3種類の食事をそれぞれ6週間ずつ摂取させた。各食事の摂取6週間後に血管内皮機能などの評価を行った結果、高炭水化物食と卵2個を含む朝食との間で、FMD、総コレステロール値、血圧、体重に違いは認められなかった。また、卵2個を含む朝食と卵代替品1/2カップを含む朝食との間でも結果に違いはなかった。以上より、冠動脈疾患者が6週間毎日卵2個を摂取しても何ら明確な副作用は認められず、卵排除論を支持しなかった。より長期の介入試験が実施されれば、公衆栄養政策に役立つと思われる。

※FMD(Flow Mediated Dilatation):血流依存性血管拡張反応といわれ、血管内皮機能を評価する検査。血管内皮機能障害は動脈硬化を引き起こす要因となる。

文献No.24
調理法によって卵カロテノイドの吸収が変わる(in vitro)

Chamila N et al., Bioaccessibility and digestive stability of carotenoids in cooked eggs studied using a dynamic in vitro gastrointestinal model. J. Agric. Food Chem., 2015, 63: 2956-2962.

【要旨】

  加熱調理が卵のカロテノイド(ルテイン、ゼアキサンチン)の消化と生体利用性(吸収)に及ぼす影響を明らかにするため、一般的な家庭調理法である茹で卵、目玉焼き、スクランブルエッグの3方法で卵を調理し、人工消化管モデル(TIM-1)を用いて検討した。その結果、ルテインとゼアキサンチの消化安定性は調理法の影響を受けなかった(平均回収率はそれぞれ90%と88%)。消化中にトランス・シス異性化は観察されなかった。しかし、生体利用性には調理法による差がみられ、茹で卵、目玉焼きでは41%~45%程度であるのに対し、スクランブルエッグではルテインが39%、ゼアキサンチンが24%で有意に低くなった。これらの結果から、卵に含まれるカロテノイドの吸収は、調理方法による影響を受けることが分かった。

文献No.23
ルテイン強化卵黄の摂取により視力が改善(介入試験)

van der Made SM et al., Increased macular pigment optical density and visual acuity following consumption of a buttermilk drink containing lutein-enriched egg yolks: A randomized, double-blind, placebo-controlled trial. J. Ophthalmol., 2016, doi: 10.1155/2016/9035745.

【要旨】

  ルテインが加齢黄斑変性症の兆候のある人の視力に与える効果を検証するため、50歳以上の男女を対象に、バターミルクを摂取するプラセボ群(43人)と、高ルテイン卵黄を配合したバターミルクを摂取するルテイン群(46人、ルテイン1.4 mg/日の付加)に分け、1年間にわたり摂取させた。その結果、ルテイン群で、①血中ルテイン濃度が摂取開始時の205 ng/mLから12ヵ月後の399 ng/mLへと増加し、②視力の指標であるLogMAR*値がルテイン群でプラセボ群と比較して有意に減少し、③黄班色素光学密度はルテイン群で摂取開始時と比較して有意に増加した。以上のことから、加齢黄斑変性症の兆候のある人がルテインに富む卵黄を摂取することで、視力、黄斑色素光学密度、血漿ルテイン濃度が改善することが示された。
  *LogMAR:視力を表す指標。小数視力0.1がLogMARでは1.0となる。

文献No.22
卵白加水分解物は肥満関連因子を改善する(動物試験)

Garcés-Rimón M et al., Pepsin egg white hydrolysate ameliorates obesity-related oxidative stress, inflammation and steatosis in zucker fatty rats. PLoS One., 2016, 11:e0151193.

【要旨】

  肥満ラット(Zucker fatty rats)を用い、卵白加水分解物の摂取が肥満関連障害因子に与える影響を評価した。水(対照)、ペプシン加水分解卵白あるいはアミノペプチダーゼ加水分解卵白750mg/kg/dayを12週間与えた後に、尿、糞便、臓器、血液について分析した。ペプシン加水分解卵白摂取群では、対照群と比較して精巣上体脂肪組織の低下、脂肪肝の改善、血中遊離脂肪酸濃度の低下が確認された。さらに、血中TNF-αおよび酸化ストレス指標も有意に低下した。以上の結果より、ペプシン加水分解卵白は、肥満関連障害因子の改善に適用できる可能性が示唆された。

文献No.21
卵摂取でメタボリックシンドロームのリスクが低減(横断研究)

Woo HW et al., Cross-sectional and longitudinal associations between egg consumption and metabolic syndrome in adults 40 years old: The Yangpyeong Cohort of the Korean Genome and Epidemiology Study (KoGES_Yangpyeong). PLoS One., 2016, 11: e0147729.

【要旨】

  韓国の成人男女(40歳以上)を対象に、卵摂取とメタボリックシンドロームの関係を検討した2005年から2009年にわたる前向き横断研究。身体検査とアンケートにより2,887名(男性1,115名、女性1,772名)をリクルートし、メタボリックシンドローム者を除き、1,663名(男性675名、女性958名)に対して、3.2年(0.34-8.7年)間の追跡調査を行った。追跡期間中、289名がメタボリックシンドロームに罹患したが、卵を3個/週以上摂取する群では、摂取しない群と比較し男女共にリスクが低下した(相対リスク男性0.46、女性0.54)。また、男性では卵摂取が多いと空腹時血糖および中性脂肪高値のリスク低下(相対リスクはそれぞれ0.39および0.42)することも確認された。
  以上のように、タマゴの摂取が多いと男女ともメタボのリスクが低減し、男性では血液指標値にも好影響が認められた。健康な中年および高齢者に対しては、卵摂取に関する現行の推奨を見直す必要がある。

文献No.11~20

文献No.20
卵の摂取量と2型糖尿病発症リスクの関係(メタアナリシス)

Wallin A et al., Egg consumption and risk of type 2 diabetes: a prospective study and dose-response meta-analysis. Diabetologia., 2016, doi 10.1007/s00125-016-3923-6

【要旨】

  卵摂取と2型糖尿病の関係を明らかにするため、スウェーデン人男性を対象としたコホート研究。45歳~79歳の男性39,610人を対象に1998年から15年間追跡調査を行い、その間に、4,173人が2型糖尿病と診断された。1週当たりの卵摂取が<1回、1-2回、3-4回および≧5回に四分位し、2型糖尿病の多変量補正ハザード比を求めた結果、有意な差は認められなかった(傾向P=0.06)。
  また、このコホート研究を含む12の研究結果についてメタ分析を行ったところ、卵摂取量が1週当たり各3回増加する毎の2型糖尿病発症のハザード比は、アメリカの5研究では1.18でリスクが高まったが、アメリカ以外の7研究では0.97で影響はなかった。
  以上のことから、卵摂取の影響は母集団によって異なるようであり、食事パターンの違いが結果に影響を与えたと考えられる。

文献No.19
卵黄ペプチドは抗酸化およびACE阻害活性を有する(in vitro)

Marwa Y et al., Antioxidant and ACE inhibitory bioactive peptides purified from egg yolk proteins. Int. J. Mol. Sci., 2015, 16: 29161-29178, doi:10.3390/ijms161226155

【要旨】

  卵黄タンパク質から精製したペプチドについて、抗酸化能およびアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性について検討した。加水分解卵黄ペプチドを、EYUF-10 (≦10 kDa)、EYUF-5 (≦5 kDa)、EYUF-2 (≦2 kDa)の3つに分画し、抗酸化活性、ACE阻害活性を測定した。特に効果が見られたEYUF-2について、ゲルろ過によりさらに分離したところ(EYGF)、EYGF-23およびEYGF-33画分が効果的に脂質過酸化物質の生成を阻害した。抗酸化メカニズムについては、ヒドロキシラジカルの捕捉や鉄のキレートが関与していた。また、EYGF-23、EYGF-33には、チロシンやトリプトファンのような疎水性アミノ酸が含まれること明らかとなった。ACE阻害活性はEYGF-56で高く、EYGF-56中のSDNRNQGYペプチドおよびEYGF-33中のYPSPVペプチドで特に活性が高かった。本研究の結果より、卵黄タンパク質から、抗酸化およびACE阻害活性を有するペプチドを得られる可能性が示された。

文献No.18
卵の摂取量と冠動脈疾患リスクは相関なし(コホート研究)

Virtanen JK et al., Associations of egg and cholesterol intakes with carotid intima-media thickness and risk of incident coronary artery disease according to apolipoprotein E phenotype in men: the Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study. Am. J. Clin. Nutr., 2016, doi: 103945/ajcn.115.122317.

【要旨】

  コレステロール摂取量や卵摂取量と冠動脈疾患の発症リスクや頸動脈内膜中膜厚との関係を調べるために、フィンランドに住む42~60歳の男性1032人を対象に、平均20.8年追跡調査を行った。また、血中脂質に影響を与える大きな要因の一つであるApoE遺伝子多型についても調査しており、対象者の32.5%が、LDLコレステロール濃度が高くなりやすいApoE4遺伝子型であった。
  卵摂取量が<19g/日、19-36g/日、>36g/日で3分類したところ、卵摂取量と冠動脈疾患発症リスクに相関はなかった。また、ApoE4遺伝子型で層別解析をしても相関はなかった。さらに、コレステロール摂取量が<321mg/日、321-438mg/日、>438mg/日の3分類をしても冠動脈疾患発症リスクとの相関はなかった。同様にApoE4遺伝子型での層別解析でも相関は認められなかった。
  加えて、頸動脈内膜中膜厚と卵摂取量およびコレステロール摂取量との間にも相関は見られず、ApoE4遺伝子型で層別解析を行っても同様の結果であった。
  以上のことから、卵およびコレステロールの摂取は冠動脈疾患発症リスクおよび頸動脈内膜中膜厚との相関はないと結論付けられた。

  ※頸動脈内膜中膜厚:頚動脈血管壁内腔側の表層を構成する内膜と中膜を合わせた厚み。動脈硬化の進展に伴って肥厚することから、動脈硬化性ハイリスク患者のスクリーニングおよび生活習慣病治療の指標とされている。

文献No.17
鶏卵アレルギー患者におけるインフルエンザワクチンの安全性(介入研究)

Turner P J et al., Safety of live attenuated influenza vaccine in young people with egg allergy: multicenter prospective cohort study. BMJ., 2015, 351:h6291, doi: 10.1136/bmj.h6291.

【要旨】

  卵タンパク質を含むインフルエンザワクチンの安全性を確認するため、卵アレルギーを持つ779人の若者(2~18歳)に対してインフルエンザワクチンを接種する介入研究を行った。接種72時間以内の反応を調査したところ、全身性のアレルギー反応は起こらなかったが、9人で30分以内に鼻炎などの軽度な症状が報告された。また、ワクチン接種後2~72時間以内に221人が息苦しさや鼻水などの遅延型の症状を呈し、62人で72時間以内に下気道症状の兆候が報告され、両親の報告ではその中の29人で息苦しそうな状態であった。しかし、病院へ搬送された者はなく、ワクチン接種4週間後においても呼吸器症状を訴えるものは増加しなかった。
  以上の結果から、卵タンパク質を含むインフルエンザワクチンを卵アレルギーの若者に接種しても、全身性のアレルギー反応を起こすリスクは低いことがわかった。また、喘息をコントロールすることによって、ワクチンの接種が可能であることが示唆された。

文献No.16
卵殻膜加水分解物は、UV照射によるシワを改善(動物試験)

Jin H Y et al., Effects of Egg Shell Membrane Hydrolysates on UVB-radiation-induced wrinkle formation in SKH-1 hairless mice. Korean J. Food Sci. An., 2015, 35, 1: 58-70, doi: 10.5851/kosfa.2015.35.1.58

【要旨】

  卵殻膜加水分解物のしわ、保湿に対する効果を全画分および画分Ⅰ(> 10 kDa)、画分Ⅱ(3-10 kDa)、画分Ⅲ(< 3 kDa)の4分画について検討した結果、HaCaT 細胞(ヒト表皮角化細胞株)におけるヒアルロン酸量の増加、CCD-986Sk繊維芽細胞におけるコラーゲン合成の増加、MMP-1産生量の減少が認められた。またUV-照射によりしわを形成したヘアレスマウスに画分Ⅰを5週間塗布した結果、皮膚厚の改善、水分量の増加、経皮水分蒸散量の減少、紅斑の減少、しわの改善が認められた。UV照射によるしわ形成メカニズムとしては、MMPの活性化を介するコラーゲン分解促進機構が知られている。本研究では、MMP-1の減少、コラーゲン合成およびコラーゲン遺伝子の増加が観察され、これらの応答が卵殻膜加水分解物のしわ形成抑制メカニズムの1つと考えられる。
  本研究より、卵殻膜加水分解物は、化粧用としてUV-B照射によるしわ形成を改善する可能性が示された。

文献No.15
鶏卵アレルギー経口負荷試験により6歳までに73%が免疫を獲得

Ohtani K et al., Natural history of immediate-type hen’s egg allergy in Japanese. Allergol. Int., 2015, http://dx.doi.org/10.1016/j.alit.2015.10.005

【要旨】

  鶏卵アレルギーで経口負荷試験 (OFC) を受けた2005年生まれの226人の小児を対象に、6歳までの鶏卵に対する免疫取得に至る自然経過について行われた後ろ向き研究である。グループⅠ(3歳までに免疫獲得、n = 66)、グループⅡ(3-5歳までに獲得、n = 98)、グループⅢ(6歳時に獲得、n = 62)に分け比較した結果、グループⅢは、グループⅠと比較して有意に高い鶏卵関連のアナフィラキシー反応や合併症を経験した。また、気管支喘息、アトピー性皮膚炎の有病率も有意に高かった。加えて、卵白とオボムコイドの特異的 IgE値が高レベルを持続した。今回の研究では、鶏卵アレルギーを持つ小児患者のうち6歳までに73%が免疫を獲得していた。

文献No.14
加水分解卵殻膜の摂取で関節機能や日常生活動作が改善(介入試験)

Jensen G S et al., Support of joint function, range of motion, and physical activity levels by consumption of a water-soluble egg membrane hydrolyzate. J. Med. Food., 2015, 18:1042-1048.

【要旨】

  加水分解卵殻膜摂取が関節機能、関節可動域、身体活動度にどのような影響を及ぼすかについて、慢性的な痛みを有する25名の健常米国人を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー比較試験を実施した。被験者を2群に分け、加水分解卵殻膜(450 mg/日)およびプラセボを4週間摂取させ、関節可動域、痛み、日常生活動作に及ぼす影響について評価した。その結果、加水分解卵殻膜の摂取により首、脊椎、腰、膝の関節可動域に改善が見られ、とくに首、右膝、効き肩で有意に改善した。また、身体活動度が有意に高くなり、日常生活動作についても改善が見られた。サブグループ解析の結果、冬季に加水分解卵殻膜摂取をした群においては、摂取5日目から下部の腰痛が有意に改善した。以上の結果より、加水分解卵殻膜の継続摂取は、関節機能や日常生活動作の改善、身体活動の増強効果が示唆された。

文献No.13
卵摂取量と血管イベント発生リスクに関連はない(コホート研究)

Goldberg S et al., Egg consumption and carotid atherosclerosis in the Northern Manhattan Study. Atherosclerosis., 2014, 235:273–280.

【要旨】

  卵摂取とアテローム性頸動脈硬化症や血管イベントとの関連を調べるために、40歳以上の北部マンハッタン住民1429人を対象に平均11年間の追跡調査を行った。その結果、卵摂取量と頸動脈内膜中膜厚、プラークがある人の割合、厚さ、面積は逆相関することがわかった。また、卵摂取と血管イベント発生リスクとの関連も認められなかった。これらの結果は、血管の健康のためにはコレステロールを多く含む卵の摂取を極端に制限、あるいは排除すべきだとする現時点での推奨を支持しなかった。

文献No.12
ルテイン強化卵は血中脂質に影響を与えずルテイン濃度を増加(介入試験)

van der Made S MN et al., Consuming a buttermilk drink containing lutein-enriched egg yolk daily for 1 year increased plasma lutein but did not affect serum lipid or lipoprotein concentrations in adults with early signs of age-related macular degeneration. J. Nutr., 2014, 144: 1370-1377.

【要旨】

  加齢性黄斑変性症の初期兆候がある50才以上のオランダ人88名を2群に分け、1年間毎日、ルテイン強化卵黄1.5個を加えたバターミルク、もしくはバターミルクのみを飲む無作為化比較試験を行った。その結果、ルテイン強化卵黄を摂取した群では血漿中ルテイン濃度が有意に増加(バターミルクのみの場合の83%増)した。しかし、血清コレステロール(Chol)濃度および総Chol/HDL-Chol比には有意な差は認められなかった。campesterolとlathosterolの血中濃度比が低い(コレステロール吸収タイプ)、高い(合成タイプ)、および中間の3群に分け比較すると、コレステロール吸収タイプでは、血漿ルテイン濃度だけでなくHDL-Cholもより顕著に増加した。このように、コレステロール吸収タイプでは、ルテイン強化卵黄を加えたバターミルクの摂取効果が最も大きいと考えられる。

文献No.11
卵の摂取量は食事の質と関連あり

Sonia Vega-López S et al., Egg intake and dietary quality among overweight and obese Mexican-American postpartum women. Nutrients., 2015, 7: 8402-8412

【要旨】

  産後の女性における栄養摂取状況や食事の質への鶏卵の寄与の程度を評価するため、産後のメキシコ系アメリカ人女性(28±6歳、BMI 29.7±3.5 kg/m2)を卵消費者81名(摂取量 >0個/日)と非消費者57名の2群に分け調査した。栄養素摂取状況と食事の質については、Alternative Healthy Eating Index 2010 (AHEI2010、米国での評価基準)によって評価した。その結果、卵消費者では非消費者と比較し、エネルギー、タンパク質、脂質、一価不飽和脂肪酸、その他微量栄養素の摂取量が多く、タンパク源となる食品や果物の摂取量もより多い傾向が認められた。つまり、卵の摂取は産後のメキシコ系アメリカ人女性の食事の質を改善することが示唆された。なお、卵消費者ではエネルギー摂取量も多い傾向にあるため、過体重および肥満者に対しては、過剰なエネルギー摂取は避け、食物繊維を多く含む食事に卵を組み合わせることを推奨している。

文献No.1~10

文献No.10
卵の摂取量は冠動脈石灰化と相関なし(コホート研究)

Jeremy M R et al., Association of egg consumption and calcified atherosclerotic plaque in the coronary arteries: the NHLBI Family Heart Study. ESPEN J., 2014, 9: e131-e135.

【要旨】

  平均年齢56.5歳(男性41%)のNHLBI Family Heart Study(心疾患に関する国家的疫学調査)に参加した循環器疾患がない米国人1848人を対象とし、鶏卵の摂取量(半定量的食事摂取頻度調査)とCTで診断した冠動脈石灰化(CAC)との関係を検討した。卵をほとんど食べない群、1~3個/月、1個/週および2個以上/週の4群で比較した結果、各群間で有意な差は認められなかった。つまり、この研究では卵の摂取量とCACとの間には相関はなかった。
※CAC (coronary-artery calcium):血管壁へカルシウムが沈着し、動脈硬化を促す症状。

文献No.9
心血管疾患のリスクが高くても、卵は問題なく摂取できる(総説)

Nicholas R. Fuller, et al., Egg Consumption and Human Cardio-Metabolic Health in People with and without Diabetes. Nutrients.,2015;7:7399-7420; doi:10.3390/nu7095344

【要旨】

  一般集団と心血管疾患のリスクの高い集団(例えば、2型糖尿病の人)の両方に対する食事性コレステロールや卵の摂取に関するガイドラインは、国家間だけでなく、同一国内の専門家の間でも意見が異なっている。
  レビューの結果、より多くの卵を含む食事は、一般集団、心血管疾患のリスクが高い集団、冠状動脈心臓病患者、2型糖尿病患者の全てにおいて、健康的な食事として問題なく摂取できることを示唆している。また、食事背景や食事介入は、食品でなく、栄養成分が鍵であるように思われる。飽和脂肪酸含量が低い食事や、飽和脂肪酸が多価及び一価不飽和脂肪酸と置き換えられた食事と関連する高卵食は、LDLコレステロールで有用な結果になる可能性がある。

文献No.8
卵摂取量は心筋梗塞、脳卒中リスクと相関無し(コホート研究)

Larsson S C, et al., Egg consumption and risk of heart failure, myocardial infarction, and stroke: results from 2 prospective cohorts. Am. J. Clin. Nur., 2015, pii: ajcn119263.

【要旨】

  スウェーデンの男性37766人と女性32805人を対象とし、13年追跡調査した2つの前向きコホート研究から、卵の摂取量と心不全、心筋梗塞、脳卒中の発症との関係を調査した。その結果、男性、女性とも卵摂取量と心筋梗塞、脳卒中との関係はなかった。また、卵摂取量と心不全の関係については、女性については関連がなかったが、男性については、1個/日以上の卵摂取によって、心不全発症リスクが30%増加した。男女でこのように異なる結果が出たことと、メカニズムが不明のため解釈には注意が必要である。

文献No.7
卵摂取は2型糖尿病患者の代謝調節に寄与する(介入試験)

Pearce KL et al., Egg consumption as part of an energy-restricted high-protein diet improves blood lipid and blood glucose profiles in individuals with type 2 diabetes. Br J Nutr. 2011 Feb;105(4):584-92.

【要旨】

  2型糖尿病患者または耐糖能異常者65名を対象にした試験。対象者を2群に分け、コレステロール量の異なる2種類の高タンパク質食(HPHcho群;high protein high cholesterol、HPLcho群;high protein low cholesterol)を12週間摂取させた。HPHcho群はコレステロール源として卵2個/日、HPLcho群は代わりに脂肪分の少ない動物由来蛋白質100gを摂取した。12週間後、血清脂質、耐糖能マーカー、血中カロテノイド・ビタミン量等を測定した。結果、体重、血中TC、TAG、non-HDL-cholesterol、apo-B、HbA1c、空腹時血糖、空腹時インスリン値、血圧については両群で低下したが、群間差はなかった。LDL-C値については両群で有意な変化が見られなかった。一方、HDL-C値はHPHcho群のみで有意に増加、血中葉酸量、ルテイン量についてもHPLchoと比較し、HPHcho群で有意に増加し、2型糖尿病患者の代謝調節に寄与する可能性が示唆された。

文献No.6
卵摂取は末梢血単核球の炎症抑制および脂質代謝に影響を与える(介入試験)

Catherine J. Andersen et al.,Egg intake during carbohydrate restriction alters peripheral blood mononuclear cell inflammation and cholesterol homeostasis in metabolic syndrome. Nutrients., 2014, 6:2650-2667.

【要旨】

  全卵摂取が、単球の炎症およびコレステロール恒常性へ与える影響を検討するため、メタボリックシンドロームで糖質制限(エネルギー比20~30%)をしている患者37名を対象に、12週間、全卵3個/日(EGG群)または卵黄除去食(SUB群)を摂取させた。試験開始時および12週間後に採取した血液から末梢血単核球(PBMC)を分取し、実験に使用した。結果、SUB群のみ、LPSによってPBMCにおける炎症性サイトカインの発現が誘発された。一方、EGG群では、TLR4発現が上昇した。また、組織からのコレステロール輸送に関与するABCA1およびコレステロール合成律速酵素であるHMG-CoA reductaseのmRNA発現がEGG群のみで増加した。PBMC中の総コレステロール量は、脂質ラフト中のコレステロール含量と相関が見られた。以上より、全卵摂取は、糖質制限を行っているメタボリックシンドローム患者におけるPBMCの炎症抑制およびコレステロール恒常性に影響を与えることが示唆された。

文献No.5
卵摂取でメタボリックシンドローム患者の脂質代謝や糖代謝を改善(介入試験)

Christopher N. Bless et al., Whole egg consumption improves lipoprotein profiles and insulin sensitivity to a greater extent than yolk-free egg substitute in individuals with metabolic syndrome. Metabolism., 2013, 62:400-410.

【要旨】

  全卵摂取が、血清脂質、アポリポ蛋白、酸化LDL、CETP、LCAT活性に与える影響を検討するため、メタボリックシンドロームで糖質制限(エネルギー比20~30%)をしている患者37名を対象に、12週間、全卵3個/日(EGG群)または卵黄除去食(SUB群)を摂取させた。結果、EGG群では体重減少、HDL-Cの増加、TGの減少、LDL-C/HDL-C比の増加が見られた。また、動脈硬化への関与が指摘されている小粒子LDL-Cは両群において減少した。コレステロールのエステル化に関与するLCATについては、EGG群で有意に活性が上昇した。また、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR値が減少した。以上の結果より、糖質制限中の卵摂取は、メタボリックシンドローム患者において、アテローム生成に関わるリポ蛋白特性およびインスリン抵抗性を改善すると考えられる。

文献No.4
糖尿病患者の卵摂取は炎症を改善する(介入試験)

Martha Nydia Ballesteros et al.,One Egg per Day Improves Inflammation when Compared to an Oatmeal-Based Breakfast without Increasing Other Cardiometabolic Risk Factors in Diabetic Patients. Nutrients., 2015, 7:3449-3463.

【要旨】

  本研究では、35-65歳の2型糖尿病患者29名を対象とし、朝食として、卵1個/日を含む食事またはオートミール食を5週間摂取させた。結果、血糖値、インスリン値、HbA1c値、血中脂質濃度において、両群間に有意な差は認められなかった。一方、AST値、TNF-α値については卵を含む朝食を食べた群において有意な減少が認められた。この結果から、糖尿病患者の朝食における卵摂取は、オートミール食と比較し、糖代謝および脂質代謝に影響を及ぼさないことが示唆された。また、卵摂取は糖尿病患者における炎症を抑制する可能性が示唆された。

文献No.3
卵黄は血中カロテノイド濃度を改善(介入試験)

Christopher N. Bless et al., Egg intake improves carotenoid status by increasing plasma HDL cholesterol in adults with metabolic syndrome. Food. Funct., 2013, 4:213–221.

【要旨】

  Metabolic syndrome(MetS)と診断されたアメリカ人男女40人を対象に、12週間にわたって、毎日全卵3個を食べる群(EGG群)と卵黄を含まない同量の卵代替物を摂取する群(SUB群)に分けて血中カロテノイドに与える影響を評価した。なお、試験期間中は、すべての被験者に糖質制限食を摂ってもらった。その結果、EGG群では、血中ルテイン、ゼアキサンチンがSUB群と比較して有意に上昇した。また、HDLおよびLDL中のルテイン、ゼアキサンチンについてもSUB群と比較して有意に上昇していた。卵黄は心血管疾患や糖尿病リスクが高い方にとって、血中カロテノイド濃度を改善する重要な供給源であることが示された。

文献No.2
糖尿病患者の卵摂取は心血管リスクに影響なし(介入研究)

Fuller N R et al., The effect of a high-egg diet on cardiovascular risk factors in people with type 2 diabetes: the Diabetes and Egg (DIABEGG) study – a 3-mo randomized controlled trial. Am J Clin Nutr., 2015, 101:705-713.

【要旨】

  18歳以上のオーストラリア人のうち、糖尿病予備軍の人や2型糖尿病の患者140人を対象として、週に6日、朝食に卵を2個食べる「高卵食群」と週に2個未満しか食べない「低卵食群」に分け、12週間後に空腹時血糖値や血中コレステロール濃度などを測定した。その結果、両群間で、HDL-コレステロール濃度、LDL-コレステロール濃度、空腹時血糖値に有意な差はなく、試験前と比較しても有意な変化はなかった。この結果より、2型糖尿病患者の食事の一部に卵を多く取り入れても安全であることが示唆された。

文献No.1
卵はカロテノイドの吸収を促進する(介入試験)

Jung Eun Kim et al., Effects of egg consumption on carotenoid absorption from co-consumed, raw vegetables. Am J Clin Nutr., 2015, doi: 10.3945/ajcn.115.111062.

【要旨】

  健康で若い成人男性16名を対象に、野菜のみ摂取する群、野菜と卵75gを摂取する群、野菜と卵150gを摂取する群の3群に分けて、血中のカロテノイド(ルテイン、ゼアキサンチン、αカロテン、βカロテン、リコペン)の推移を10時間確認した。摂取したカロテノイドはほとんどが野菜に含まれていた。血中カロテノイド量合計は、野菜のみ摂取する群、野菜と卵75gを摂取する群、野菜と卵150gを摂取する群の順に多くなり、野菜と卵150gを摂取する群は他の2群より有意に高値を示した。
  野菜と卵を一緒に摂取する事でカロテノイドの吸収を促進する事が示された。

「タマゴとコレステロール」タマゴ科学研究会編

冊子「タマゴとコレステロール」

医学・栄養学を中心に研究者・医師・栄養士等の皆様向けに最新情報を編集しました。
全国各地の栄養関係者むけの勉強会や講演会、大学の講義等でご活用いただいております。

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冊子「タマゴの魅力」を改訂いたしました。

冊子「タマゴの魅力」改訂版

一般消費者の皆様を対象に、上記「タマゴとコレステロール」を分かりやすく再編集し、タマゴの機能面、栄養面などについてもご紹介しています。
タマゴを食べて健やかな毎日を送っていただきたいという想いをこめております。

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